最近は、当事者の合意内容をきちんと書面で確認しておくことの重要性は理解されている方は
多くなったのですが、その合意内容を書面にする際、弁護士に確認して貰い、書面を作成する、
ということは、顧問弁護士を依頼していない限り、まだまだ少ないようです。
ちょっとした書面だからとか定型的な書面だからと簡単に考えて書面を作成したが、その後、
お互いの解釈が違うとか、合意内容が書面に記載されていないとかのことで、紛争が生じてから
相談に来られる方もよくあります。
弁護士は紛争が生じてから依頼するものと考えられているということではないようですが、
簡易な書面であるとか、定型的な書面だからということで、書面を作成することが多いようで、
その意味で、日本ではまだまだ弁護士が、紛争発生前に紛争を予防するという立場で関わる
ことが少ないようです。
事後的に紛争を解決できても、時間と費用を掛けて解決したということにもなることがあります
(勿論、解決によるメリットはありますが)。
それよりも、紛争ができるだけ発生しないような書面、合意内容に曖昧なところを残さず
定めておくべき部分は記載した書面、を作成し、事後の紛争を予防することが重要です。
弁護士は専門的知識をもってきちんとした書面を作成できますので、それで現時点で紛争がなくとも、
問題が発生するような書面で契約を締結しないように弁護士に依頼することは大事だと思います。
当事務所は、法人のクライアントの関係で文書チェックをすることが多いのですが、個人の文書作成や
文書チェックも取り扱っています。個人で多いのは、やはり内容証明郵便で、請求関係(損害賠償、売掛金、
貸金等)、契約解除関係(売買、賃貸借)です。請求関係で気を付けて頂きたいのは、時効との関係です。
内容証明郵便で請求したとしても、確定的に時効は中断しません。相手が支払わなければ裁判をする
必要があります。依頼者に普通の請求書ではらちがあかないので、内容証明郵便で請求したいということで
相談に来られた方がいましたが、確認すると時効完成が近々だったので、内容証明郵便発送後
(時効完成について6ヶ月間の猶予期間が与えられています)、6ヶ月以内に提訴した事案がありました。